「機能性表示食品」届け出から公表までの期間は55日が目安

機能性表示食品という商品を見かけたことがある人は少なくないのではないでしょうか。実際に口にする食品に関することであるため、食品に表示されている内容を理解することは大切だと言えます。そこでこの記事では、機能性表示食品はどういった食品なのか、どのような評価を経て表示がなされているのか、また、表示にはどのような種類があるのかなどについて紹介します。

健康な毎日を送りたい人におすすめの機能性表示食品

機能性表示食品とは

機能性表示食品とは、科学的な根拠をもとに、食品の安全性や効果的な機能性が表示されたものを言います。実際に表示を行う場合、その食品を取り扱う事業者が販売前に消費者庁長官に届け出る必要があります。届け出の際には、国が定めた規則に沿って、食品の安全性や機能性に関する科学的な根拠など、必要事項を満たす必要があるのです。

機能性表示食品は、いわゆるトクホと呼ばれる特定保健用食品とは異なり、国による審査は行われません。したがって、事業者は責任をもって適正な表示を行うことが求められます。

また、機能性表示食品は、何らかの疾病に罹患していない人を対象とした食品です。

機能性が表示できる3つの種類

食品の機能性の表示には3つの種類があります。そのうちの1つが機能性表示食品です。そして2つ目は特定保健用食品です。特定保健用食品はトクホとも呼ばれ、機能性表示食品よりも早くから制度が開始されているため、消費者の認知度も比較的高いと言えます。

特定保健用食品は、健康の維持や健康の増進に役立つ効果が科学的根拠によって認められている食品において表示することができます。機能性表示食品は消費者庁長官が個別に許可するのに対して、特定保健用食品は、国が審査を行ったうえで、食品ごとに消費者庁長官が許可をするのが大きな違いです。

機能性を表示できる3つ目の種類が栄養機能食品です。これは、ビタミンやミネラルといった人体に必要な栄養成分を補うために利用できる食品を指します。栄養機能食品として表示を行うための届け出は特に必要ありません。

一方で、すでに科学的な根拠が認められている栄養成分が、一定の基準で食品に含まれていることが表示を行うための条件です。加えて、表示に利用できる表現は国によって定められているといった特徴もあります。

機能性表示食品の届け出に必要なこと

機能性表示食品としての表示を行うことを希望する事業者は、商品を販売する日の60日前までに消費者庁長官に届け出る必要があります。届け出には、国が定めたルールに則った安全性や機能性を評価した資料を用意しなくてはいけません。

また、食品の生産や製造、品質管理の体制、健康被害に関する情報を収集する体制が十分に整備されていることが求められます。こうした情報を含んだ届け出をもとに、消費者庁は届け出から55日を目安に届け出られた食品が機能性表示食品であることを公表します。

さらに、公表までの期間を55日とする目標はおおむね達成されているため、期間を50日に短縮できるという判断が消費者庁によってなされています。したがって、表示を希望する事業者にとっては、届け出への対応がより迅速になると期待できるでしょう。

一方で、表示を希望する際の届け出に不備が認められる場合、再提出を求められることもあります。指示を受けた事業者が届け出の再提出を行う場合、公表までの期間は30日が目安です。加えて、事業者が届け出た食品の機能性素材や安全性、機能性にかかわる事柄が同一の食品の届け出がすでにあり、公表が認められている場合には、新たな届け出の公表が迅速化されます。

こうした、すでに届け出られた食品をもとに、迅速に公表する仕組みをファストパスと言います。

機能性表示食品の安全性

事業者による届け出から55日を目安に迅速に公表が行われる機能性表示食品ですが、条件によっては公表までに要する期間がさらに短くなることもあります。公表までの期間が迅速なのは、届け出られた食品を評価する体制が整っているからであり、公表までの期間が比較的短いからと言って食品の安全性に問題があるわけではありません。

食品を評価する際、その食品がそれまでに多くの人に広く食べられてきたものであるかといった食経験を確認し、食品の安全性を評価します。また、安全性に関する既存の情報を確認したり、動物や人を用いた安全性を確認するための試験を実施したりもするのです。

加えて、医薬品との相互作用や重大な問題が起きないかといった事柄も確認、評価されています。さらに、食品の機能性を正しく評価するため、実際に販売する食品を用いた試験も行われます。これにより、どういった科学的根拠をもとに機能性を表示し得る食品なのかを確認するのです。

加えて、その食品は、どのような人が、どういった方法で摂取すると、どのように効果的な機能性が発揮されるのかなどが評価され明らかにされます。機能性表示食品には、健康被害の情報収集体制が整っていることも求められます。

したがって、食品のパッケージには、消費者や医療従事者などが連絡できるよう、事業者の電話番号といった連絡先が必ず記載されているのです。こうした、機能性表示食品としての表示を行うために必要な、事業者によって届け出られた情報は、消費者庁のホームページで公開されているため、誰でも閲覧することができます。

公開された情報をもとに、その食品の安全性や機能性、さらにはそれらの根拠を知ることに役立つでしょう。

機能性表示食品を効果的に利用するために

機能性表示食品を多く摂取することで、より大きな効果が期待できるわけではありません。

したがって、食品に掲載されている適正摂取の目安量や摂取方法を慎重に確認する必要があります。万が一過剰に摂取してしまうと、健康に良くない影響を及ぼすこともあるため、機能性表示食品は正しく利用することが求められます。

また、機能性表示食品は、正しい食生活の補助として取り入れることが理想です。そのため、機能性表示食品を利用すれば、食生活が偏ったり、乱れたりしても問題がないというわけではありません。

機能性表示食品を生活に取り入れる場合でも、主食、主菜、副菜といった食事をバランス良くとることが大切です。

機能性表示食品の公表は迅速かつ安全

機能性表示食品は、安全性と機能性が科学的根拠をもとに認められた食品を指します。機能性表示食品として食品を販売することを希望する場合、事業者は食品の評価に必要な情報をそろえて消費者庁に届け出る必要があります。

届け出から公表までに要する期間は55日ほどで、条件次第ではさらに短くなることもあります。一方で、食品の安全性や機能性に関する評価は慎重に行われていて、消費者はその内容を細かく知ることが可能です。